三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年10月17日

熊野で古くから親しまれてきた「番茶」の文化。
地元でも今は希少となったその「熊野番茶」を贅沢に煮出し、染め上げたのが、「熊野番茶染め」。
熊野の伝統の色合い、そして優しい自然の風合いをまとった染め物は「熊野ブランド」に認定され、いまや地域の新しい産物として注目されています。

「熊野番茶は一般的に売ってるというより、各家庭がそこに生えているお茶畑のお茶を採取して、自分とこの分をまかない、又は近所にちょっとおすそ分けするみたいな感じが多いですね。
僕は熊野で生まれ育って来たんでそれが当たり前だったのですが、飲むだけでなくもっと生かしてPRできれば、とはじめたのが『熊野番茶染め』のきっかけです」

と、語るのは『マリモ/Tファクトリー 布や熊野』の伊東威さん。

 

熊野で古くから親しまれてきた『番茶』の文化。
地元でも今は希少となったその『熊野番茶』を贅沢に煮出し、染め上げたのが、『熊野番茶染め』。

 

熊野の伝統の色合い、そして優しい自然の風合いをまとった染め物は『熊野ブランド』に認定され、いまや地域の新しい産物として注目されています。

 

熊野市内の商店街にあるのが『マリモ/Tファクトリー 布や熊野』。
Tシャツを始め、ストール、マスク、帽子、トートバック等、様々な商品を展開しています。

 

伊東さんもよく見ると、上半身はすべて番茶染めコーディネート!
素敵です!

「高校卒業後、大阪の大学に進学し、大阪のアパレルメーカーに勤めた後、家業の洋品店を継ぐために熊野にUターンしました。
25歳のときです。
ちょっと高級な有名なアパレルメーカーの洋服なんかも仕入れて、母親も一緒にやっていましたので、母親の世代のお客様を含めて、まぁそれなりに賑わいがありましたが、年々地域の高齢化、人口の減少が進み、お客さんも売上も次第に伸び悩むようになりました」

 

そんな時、2004年に熊野古道が世界遺産に登録された際にオリジナルの『KODO』Tシャツを販売し人気商品に。
その後、数々のご当地Tシャツを生み出し、Tシャツプリント事業もスタートしました。
それをさらに、地域資産として進化させたのが、『熊野番茶染め』です。

 

こちらが伊東さんがお店を継いだあとにはじめたTシャツたち。
大内山Tシャツは、大内山酪農さんとライセンス契約で作っているTシャツです。

 

現在では紀伊半島各地のご当地Tシャツを展開中。
八咫烏や熊野花火大会、などなど。
各地の道の駅や宿泊施設、土産物店などで販売しています。

 

工房で熊野番茶染めをされているところを見せてもらいました。
まずは茶葉を一時間程度、煮込みます。

 

茶葉を煮出した染液に素材を入れ、再び沸騰するまでかき混ぜます。
この日はシルクのオーガンジーのストール、Tシャツ、巾着とサコッシュなど。

ミョウバンを入れて媒染し、火を止めて、15分程度撹拌。
しっかりとかき混ぜ、更に寝かせること一時間…とっても手間暇のかかる作業なんです!

 

キレイな色です。
良い感じになりましたが、さらに模様を付けていきます。
絞りも何か熊野らしいものを出来ないかということで、七里御浜の小石を取ってきました。

 

中から小石を入れて、中心にくるようにして、小さめの輪ゴムで6回から7回くらい縛ります。

 

更にサランラップを巻くと、そこだけ残るので交互にしていくのも良いですね。

「僕らの子どもの頃はこの商店街にしても本当に沢山のお店があって、土曜日・日曜日になったら沢山来てくれていたのが年々寂しくなるっていうのがありまして。
以前のように賑やかな昔の熊野になっていければな、というのが僕の中にあります」

と、伊東さん。

 

黒い鉄鉄焙を入れることで、暗めの色になります。
色んな色のバリエーションが出来ることも、それなりに面白いことだと思います。

 

そして完成!
染まっている部分と、そうじゃない部分で色が丁度良い具合です。
世界に一つだけというのも愛着が持てますね。

 

「まだまだ知らない人の方が多いので、大阪や名古屋、東京でも物産展などに参加したり、いろいろな場所でPRをしていきたいです。
熊野番茶のTシャツやストールを手にとった人が、熊野に興味を持って行ってみたいと思ってくれたり、熊野番茶を飲んでみたいと思ってくれたり、七里御浜の碁石を拾ってみたいと思ってくれたらいいですよね」

と、伊東さん。

『熊野番茶染め』は店頭での販売はもちろん、インターネットでも販売中。
熊野ブランドの認定も受け、更には熊野ふるさと納税の返礼品にも選ばれて人気を呼んでいます。
また現在、紀伊半島南部に咲く新種のサクラ、『クマノザクラ』でも新たな染め物を試作中。
こちらも、まもなくお披露目だそうです。

熊野に足を運んで、ぜひ熊野番茶染めを手にしてみませんか!?